BLOG
TOP>BLOG
スマホでウエディング撮影はどこまで現実的か2020.01.30
ついに来ました。とうとうスマホで結婚式撮影する日が来るとは、感慨深いです。ということで、今回はそのレポートを報告させていただきます。

まず使用したのはSONYのXperia1とカメラアプリ「Cinema Pro」です。ジンバルはzhiyunのSmooth 4。Xperia 1はAmazonでアメリカの会社からSIMフリー海外版を8万円で。ジンバルはヨドバシで14,000円程度。サードパーティーのカウンターバランスやスマホケース等アクセサリーを入れても10万円切る価格帯。

とりあえずクリエーターとして納得できるクオリティーを担保した動画撮影ができる最低限の軽量型パッケージです。

さて、今回の目的は下記2点を検証する事。
1、スマホで結婚式撮影は可能か?
2、スマホで撮影しているカメラマンを世間(新郎新婦やゲスト、スタッフ)は許容できるのか?

結果としては、
1、撮れないことはないけど、まだ実用的ではないかも。
2、ゲスト、スタッフともに気になっている人多い印象。現時点でクレームゼロ。
ということになりました。

まずは1について。
ちょっと今回撮影したムービーは関係各所の許可を頂いていないため、公開できません。その代わり、直前にXperiaで撮った新郎新婦が映っていないBehind the scenesをご覧ください。

Xperia 1 x Cinema Pro | The Road of Minimal Filmer | ミニマルフィルマーへの道
「ミニマルな道具で日常を撮る。極限まで軽量化されたミニマルフィルマーへの道。」
https://www.youtube.com/watch?v=G6W3iU0i-ak

撮影に関しては、やはり一眼に慣れてるのでスマホ操作は若干扱いづらかったです。逆に一眼に比べて機能が格段に少なく制限されており、選択肢が狭いので楽っちゃあ楽です。
晴天の屋外では液晶が反射しまくって何撮ってるかほぼ分からない状態でしたが、質量が圧倒的に軽いので左手を日よけがわりにして片手撮影しました。
レンズが3つあり、一眼のようにレンズ交換する必要がなくサクサク切り替えられるので機動力と即応力は半端なく高くなります。あとは暗部に対する性能が貧弱で、薄暗いチャペルなどでは商品レベルに程遠い品質となりました。

問題は編集。素材がh265になるので、今持っているノートパソコンのスペックだと編集がきつい。なので、一度h264に変換してから編集することにしました。
ただ、その変換作業だけで数時間を要したので、とてもじゃないけど撮って出しには不向きです。さらに変換の過程で色んな情報を捨ててしまってるっぽく、解像度など満足のいく品質とまでは言えないと考えます。この辺りはもっと研究するか、スペック高いPC買えばいいのかもしれないけど、安い撮影パッケージに高いPCで編集って本末転倒になっちゃうので、低コスト一辺倒を貫く路線はブレたくない。

そして2。
スーツ着て名札も付けてるオフィシャルカメラマン的な人がスマホで撮影してるっていう違和感。2019年時点でこの違和感がどれほどのものなのか実感してきました。

まず、やっぱりみんな見ますね。え?ってかんじで。女子は「ねー見て見て!スマホで撮ってる!」ってあからさまなリアクション。スタッフもチラチラ見てきました。

おいオマエ舐めてんのか?とは言われませんでしたが、明らかに他のカメラマンと何かが違う。でも動きはめっちゃプロだっていう違和感を感じずにはいられない空気がビンビン伝わってきました。

写真室のマネージャーさんはずっとスマホを凝視。何か言われる前に先手を打たねばと海外発信に弱い日本人の特性を突いてみた。
自分「ども!あ、これ?アメリカから輸入した最新型のシネマカメラです!」
マネージャー「あ、そうなんですね。失礼しました。スマホ的なものかと思いました。」
自分「一部ではそうとも呼ばれているかもしれないですね!」
マネージャー「・・・」

まあ、こんなもんでしょうね。でもあと数年で違和感は消えるでしょう。放送用肩乗せカメラから業務用ハンディービデオカメラになり、そこから一眼になった節目には必ずビジュアル的違和感が存在してましたし。

ということで、レンズ3本と一眼カメラ1台が薄っぺらいスマホ1台で代用できるということで、機動性が圧倒的に高くなることだけは間違いない。ただし、性能面で商品として耐えうるレベルの映像にはまだ達していないと判断される。なので、現時点で一番生産的な使い方はV-logとかメーキング撮影とかの「発信用動画制作」に向いていると思いました。
機能の簡略化と質量の軽量化、コスト低減と必要なものだけにそぎ落としたミニマリズム。映像制作が多様化していくこれからの時代にミニマルフィルマーという方向性は十分アリなのではないでしょうか。