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無題2019.02.09
大体どの職業でも、「顧客を満足させる商品やサービスを提供したい」という本質は同じで共通する。
そして、それ以降のプロセスにおいて特にわかり易く説明するために、ラーメン屋の例を出してブライダルムービーという仕事を説明すると、大抵の人は理解してくれる。

まず、ラーメンを作るにあたって最も重要とされるのがスープである。
名のあるラーメン屋は各自独自の(秘伝の)スープを作るために日夜研究する。
どういう出汁を使って、隠し味は何を使って、醤油ベースでいくのか豚骨ベースでいくのか等ラーメンの骨格ともいうべき作業だ。
ブライダルムービーに置き換えると、これはコンセプトの決定に他ならない。
ドキュメンタリータッチでいくのか、非現実の世界観でいくのか、誰を対象に何を伝えたいのか、ストーリーをどう構築していくのか、そもそも結婚式を連続したシークエンスとして表現するのに一番大切だと思うところは何か等である。

そして次に、そのスープに一番合う麺を作る作業だ。
細麺なのか、太い麺なのか、濃厚なスープが一番絡む麺はどれか、あっさりしたスープに最適な麺は縮れ麺なのか、それともストレート麺なのか。
ブライダルムービーにおいては、コンセプトを具現化させるためのプロセス(撮影理論、編集理論)と言えるだろう。
まずはスープ(コンセプト)を作り、それに合う麺(プロセス)を選定する、これがラーメン作りの基本であり、基礎であり、ベースである。
これができていないラーメンはおいしいはずがない事は容易に想像できるだろう。

そして、スープと麺が出来たら、それらに見合う「具」を選ぶ作業だ。
定番のチャーシューとメンマでいくのか、はたまたキムチやニンニクで攻めるのか、それともバターとコーンで地域性を出すのか。
ブライダルムービーでは、この部分はより実践的なプロセス(撮影技法、編集技法)に相当する部分ではないかと考える。
ステディカムやクレーンを使って自由な動きと躍動感を演出するのか、ハンディーで緊迫感や親近感のある画を切り出すのか、スローモーションを加えて瞬間をより印象的に表現するのか、大胆なフレーミングでダイナミックさを醸し出そうとするのか、中望遠レンズで些細な仕草を狙って表情を抜き取るのか等である。

スープ(コンセプト)、麺(撮影理論、編集理論)、具(撮影技法、編集技法)の3つの調和が整ってラーメンは商品として完成する。
あとはそれを売る方法(営業)とお金の計算(経理)を加えて、初めてラーメン屋(ブライダルムービー屋)の商売が成り立つ。

しかし、残念ながら世の中成功しているラーメン屋ばかりではない。
成功しているのはほんの一握りのラーメン屋か、大手チェーンのラーメン屋のどちらかだ。
あとは昔ながらの中華そばを出す地域密着の中華料理屋が、地元の馴染み客のご愛顧でちょぼちょぼ生き残っているくらい。
中途半端な店はすぐに消えてなくなる。消える店のラーメンは大しておいしくない。だから消える。

なぜおいしくないのか?見た目はデカいチャーシューとか、いろいろ乗っていてうまそうに見えるけど。
答えは単純で、スープと麺がまずいからだ。いくらチャーシューがデカくても、スープと麺がまずかったらどうしようもないのだ。
いくら綺麗に盛り付けられていても、スープと麺がいけてなくて具との調和ができていないと意味がないのだ。

消える店の店主はそこを深く理解しようとしない。
デカいチャーシューやどデカい海苔をてんこ盛りに乗せて、玄人っぽいラーメン屋の盛り付けをパクっておけばとりあえずいけるだろうと思っちゃう。
本質を見ずに、上辺だけでどうにかしようとする。でも、見てる人は見てるし、世の中のお客さんも各段に舌が肥えてきている。
そのうちきっと騙せなくなる時が来る。
より本質に近づいたラーメン屋か、大資本で圧倒する大手チェーン以外のラーメン屋は、消えるか騙し騙し綱渡りしていくしかない。
世のラーメン屋店主達よ、チャーシューの厚さや海苔の産地なんてどうでもよい。そこじゃないんだよ。


↑ と、いつもカップラーメンを食べてる奴が申しております。